人気ブログランキング | 話題のタグを見る

張火丁が中国戯曲学院の教師に

先週、中国の京劇の書き込みサイトでちょっとだけ話題になった、
「張火丁、国家京劇院を辞める」事件(?)。
でもサイトではそんなバカな話はありえない、とか辞めてどうするんだ、
という書き込みばかりで大きな広がりを見せなかったのですが、
以前から張火丁が、彼女の劇団である「張火丁戯劇工作室」をもうやめたいと
言っていた事は聞いていたのでこれは案外本当のことかも、と思い、
北京に住む友人に聞いてみましたところ、
本日、その話が本当だと返事がありました。
友人も知らなかったみたいですが、
戯曲学院での本日の会議で、正式に張火丁が戯曲学院の教師になるという
発表があったとのこと。
しかも彼女の兄で、武生の張火千も一緒に学院に行くというのでびっくりです。

中国京劇院の役者だった張火丁が自分の劇団である「工作室」を
中国京劇院の一団、二団、三団に次ぐ「組」として2004年に発足させ、
『白蛇伝』や『梁祝』『江姐』などの程派の新しい新作を作ってきました。
張火丁の人気は京劇界にはなかったアイドル並の凄さで、
96年に人民劇場で初めて観た昼間の芝居の時には
ほとんどお客さんも入っていなかったのに、98年以降から人気も爆発的になり、
99年の自主公演ではチケットも完売になるくらい。
客席には中国の有名俳優などもちらほら。
2007年にはとうとう人民大会堂で京劇役者としては初めてリサイタルを行いました。
今ではチケットの入手さえ難しい状態。

「工作室」を作った経過には中国の共産党のお偉いさんたちの意向が多大に
あったということには容易に想像できます。
張火丁という京劇役者が自分の劇団を維持していくということは大スターだから出来たこと。
これまでにも何人かの役者さんが自分の劇団を作ってきましたが、
自分の演技以前に劇団の維持、経営などに時間をとられて
練習どころではなくなってしまうらしく、結局やめてしまいました。
結局、彼女もそのような理由でやめるということを決めたのでしょうか。
けれどもまた彼女が国家京劇院に戻るには、あまりに大物になりすぎて、
共演する俳優とて見劣りしてしまいがちな現在の京劇院。
辞めるには彼女の意向一つでは思い通りに行かない中国という国家の体制。
お偉いさんたちも彼女に愛想がつきたのか、
それとも火丁自信が戯曲学院に行きたいとでも言ったからなのか、
戯曲学院の表演科で教師になることに決まってしまいました。
学院にいる程派の先生は程硯秋の弟子、趙榮琛の教えを受けた陳老師、
陳老師の生徒の王老師しかいません。
火丁も陳老師の妹弟子にあたるので、皆、程派の正統派の趙榮琛の系統になります。
教えるのなら程派だと思いますが、それはそれで習ってみたいような・・・

これからはほとんど彼女の舞台は観る事が出来なくなってしまいます。
なんだかそれが一番悲しい事です。


張火丁が中国戯曲学院の教師に_c0090800_9591990.jpg

          『鎖麟嚢』        張火丁 飾 薛湘灵
 

 



  多分94、95年位に撮られた張火丁の『鎖麟嚢・春秋亭』。
  カラオケ版VCDか何かでしょう。化粧が濃い。表情も全くない・・・
  唱も今と全然違っていますが、こっちの方が良いです。
  趙榮琛に似ていて、これが程派だわ、と思いました。
  もうこういう唱い方をする役者はいませんね・・・
  




 
by xiao-mei | 2008-08-22 18:37 | 好角色

京劇好きの自言自語


by xiao-mei
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31