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奇冤報 4

               奇冤報 1 から

鉢を持って裁判所へやって来た張別古は包公の前へ通される。

「ご老人、氏名、住所を申しなさい。
何が無罪なのか申してみよ」

「はい、申し上げます、旦那様。
わたしの名は張別古。草履職人をしております。
先頃、趙大という窯職人に草履を作ってやったら
未だにお金を払ってくれません。
そしたら奴め、わたしにこの鉢を代わりによこしました。
仕方なく家へ帰る途中、なんと、この鉢がしゃべり出したのです」

包公も鉢に呼びかけるが返事がない。
何度呼んでも返事がないので張は追い出されてしまう。
外に出されてしまった張は「どうして返事をしない」と怒る。
劉が言うには、
「裁判所の中はお札が貼ってあってそれが怖くて入れない。
それを燃やしてくれたら入ることが出来るかもしれない」、と。

奇冤報 4_c0090800_236597.jpg














 
  中国京劇院  寇春華 飾 趙別古

張はもう一度包公の前に行き、劉の言うことを伝えた。
役人がお札を焼いたので又包公が「鳥盆」と呼びかけた。
しかし今度も又返事がない。
とうとう張は罰としてこん棒で5回尻を叩かれ、追い出されてしまった。

「どうして返事をしないんだ。
お前のせいでお尻を5回も叩かれてしまったよ」

劉はこう言った。

「私が死ぬ時趙大夫妻は私の体を血だらけにした。
この身をどうして包公の前にさらすことができようか。
どうか青い着物を貰い、それを私に掛けておくれ」

しかし張は「そんな話は信じない」と、突っぱねる。
劉は「頭痛をお見舞いしてやる」と言う。

「どうすればいいんだ。
行かなければお前さんに頭を締め付けられ、行けば尻を叩かれる始末。
どっちも痛い」

乗りかかった船、仕方なく張は又包公のいる裁判所へと入って行く。

「又来たのか。又この公堂を騒がしに来たのか」

張は劉が言ったことを包公に話して聞かせ、青い着物をくれと言った。
包公は着物を持ってこさせ、張に渡した。
張はそれを鉢に掛けた。
包公が鉢に呼びかけると、今度こそ劉は返事をした。
「それ、見たことか」と張は包公の机に飛びのった。
包公は張に褒美として銀5銭を与える。
劉の訴えを聞いた包公は趙大夫妻を捕らえることを約束した。
鉢は国庫に大切に収められた。


奇冤報 4_c0090800_23115729.jpg
by xiao-mei | 2007-06-15 23:13 | 好戯 奇冤報

京劇好きの自言自語


by xiao-mei
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