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観劇 「水滸伝」 国家京劇院

11月10日 長野県民文化会館

10月から約2ヶ月間に渡って全国公演が行われる
国家京劇院二団の新作 「水滸伝」を観に行きました。
日本公演、新作、ということで、京劇の「水滸伝」の中にある芝居を
うまくつなぎ合わせたものなのかと、あまり期待していなかったのですけど、
全くの新作でした。
そしてとても良かったです。
前半は坦々と話が進んでいって見所があるのか、ないのか、
悪く言えばないのですが、後半2幕目はもう見所満載でした。

そして一番良かったのは、
これまたあんまり期待していなかった宋江を演じる老生の黄炳強でした。
京劇フェスティバルの「三打祝家荘」でも宋江を演じていましたが、
この時は咽喉の調子が悪かったのか、はあ~、という感じの唱いっぷり・・・
でもこの日は絶好調ではなかったでしょうか。
日本に来ると咽喉の調子が良くなる役者さんはたくさんいますが、まさにそれ。
北京でも聴いたことないくらい良かったです。
普段、日本公演では唱の後に拍手なんて起こらないと思いますが、
私よりも先に拍手が起こっていました。

王英役の徐孟珂は“矮子歩”という演技法で演じていますが、
これはこの頃ではめったに見られません。
もともと徐孟珂はこの演技法が巧くて、それで名があがったのだという記憶がありますが、
ようやくその演技が見られるというわけ。
そのしゃがんだまま、トンボをきるのだから凄いです。

そして最後の立ち回りも、公演が始まってもう1ヶ月経ちますが、
まだまだキレのある動きで安心しました・・・
もうヘロヘロだったらどうしようかと思っていましたから。
各ホールによっては舞台の広さが違うようで、
この長野の文化ホールはかなり広いらしく、
いつもは舞台の真ん中に行くまでに三歩で良いところを六歩も歩かなければいけないと、
団員さんが言っておりました。


この公演は民音主催なのでお客さんもその関係の方が多いのか、
私の周りの席の方は皆知り合い同士で、
「京劇なんて初めて観る」とか、
「日本人が出る」というようなおしゃべりに花が咲いて、
楽しみにされている方が多いんだなあと思いました。

日本人京劇役者の石山君の出番の時など、
動いただけで拍手、表情を変えれば拍手、
“鉄門坎”
(右足を左手で体の前で持ち、左足でその右足と左足の輪を飛び越える動作
 「三岔口」の中で劉利華が脚を痛めた時に行う動作)
をすれば拍手喝采。
主役の趙永偉よりも拍手が多かったですね。
第2幕目の決戦が始まる前にお祭りの場面になりますが、
そこで王英が鈴(?)が着いた短い棍棒で音頭をとりながら、
「ここの蕎麦はおいしいな~」という日本語の科白が出てきました。
長野ですから蕎麦なんですね、
ご当地セリフが色々あるのでしょう、
これも大受け。
(又日本語セリフかー、と思いましたけど、これは何か許せる・・・)

激しい立ち回りの時にも周りのお客さんは興奮して自然に声が出ちゃうんですかね、
もうノリノリで、
そんなお客さんの反応が面白かったりしました・・・

この舞台は趙永偉を主役に持ってきたものらしいのですが、
話の中では主人に忠誠を尽くす人物として出来上がっていますが、
京劇という舞台の上だと、なんとも中途半端な感じでした。
一応前半にも少しは彼の立ち回りがあるのですが、
なんだか体が重いような印象。
後半の剣を使った立ち回りでは剣の持ち手に着いている飾り紐と直線になって
綺麗だと思ったのですけど。
北京でこの公演が演じられれば看板は趙永偉なのでしょうが、
皆それぞれ見せ場があるので誰が主役ともいえません。


文句を言ってしまえば、
2団・・・・他に刀馬旦がいないのか・・・?
刀馬旦じゃなくても、あの扈三娘の役なら基礎があれば誰でもできそうではないか?

by xiao-mei | 2009-11-12 23:01 | 好話

京劇好きの自言自語


by xiao-mei
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